Cake Decorating Magazine 連載のお仕事
こちらも思い出深いケーキ。
シューズボックスとハイヒールのケーキ・カップケーキです。
修行を始めて間もなく
パーティーのオーダーで
ハイヒールのカップケーキやミニケーキをたくさん作りました。
色目とデザインのテーマを指示され
デザインそのものは自分で考えて頂戴、と。
発色、デザイン共にものすごく悩みながら作りました。
お客様の希望を形にする
その中で自分の裁量でデザインできる
当然のようにオーダーメイドケーキの面白さに魅了されました。
このケーキのセットは
Cake Decorating Magazineのプロジェクト。
毎週4つのプロジェクトで8つの作品を用意。
木曜日の撮影後、金曜日には次のプロジェクトが届き
通勤時間などに作り方やデザインを考えながら
金・土・日はお店の商品の仕上げを行います。
月曜日からはベイカーは週末のベイキングを
デコレーターはプロジェクトの制作を。
毎週新しい作品を作るという作業は
締め切りに追われる辛さもありつつも
とてもエキサイティングな時間でした。
ケーキデコレーターとして私がキャリアをスタートさせたのは35歳の時。
大学卒業後結婚し専業主婦だった私にとって初めての就職は
イギリスで職人になるという思いもよらないものでした。
イギリスでは子供は11歳の誕生日を迎えるまで
学校やお稽古の送迎も親が付き添うことが法律で決まっています。
そこで在英後すぐの3年間は朝晩の送迎時間の間に
自宅でお菓子や収納の教室を開催していました。
しかし、あと3年イギリスにと夫に言われた時
私はイギリスの社会の中で働いてみたいと思い始め
はっと「プロの職人になろう」と思い立ちました。
それは何かが自分に降りてきたような気持ちで
人生でこれほど強く「何かになりたい」という気持ちを持ったことは
それまでありませんでした。
35歳になるまで
そう思えるものがなかったことはお恥ずかしい限りですが
35歳になってからでも
そう思えるものに出会えたことは幸運だとも思っています。